ガクシンFind 2020年10月29日号
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「伝わる! 修造トーク」
松岡修造 / 飛鳥新社
員 ル ク ー サ ン シ ク ガ 秋の夜長の ! 集 特 K O O B メ ス ス オ
担当: 齋田智裕 同志社大学3回生 小嶋あかり 京都女子大学2回生 綿引佑太 同志社大学4回生 石飛大和 同志社大学3回生 河村卓弥 同志社大学4回生 蜂谷純加 龍谷大学4回生 山際聡一郎 同志社大学4回生 篠原日菜子 京都華頂大学2回生 石﨑智也 同志社大学3回生
ガクシン
『5W1H、プラス100万F!』テニス部に所属していた中学 時代から、松岡修造さんは私が最も尊敬する人の1人です。 そんな修造さんから会話の極意を学ぼうと思い「伝わる!修 造トーク」を購入。ミュージックインタビューの前、ゼミの プレゼンの前、就職活動の面接の前、何度も何度も読み返し たこの本は、私のコミュニケーションのバイブルです! 冒頭の呪文は「自分がどう感じたか(Feel)を話すことがめ ちゃくちゃ大事!」という意味です。自分が感じたことを率 直に話そうという気持ちを前面に出していけば、言いたいこ との意味は伝わるはず、とポジティブに考える。修造さんら しいですよね(笑) でも、私はこれを意識することで、数々の プロアーティストの本音を引き出しました!人前で話すのが 苦手な方やこれから面接を迎える就活生!寒くなってきたこ の季節に修造節全開の1冊でアツくなりせんか??
「モモ」
河村卓弥 同志社大学4回生
ミヒャエル・エンデ 大島かおり訳 / 岩波少年文庫
「モモ」という女の子が、突然現れ次々に町の人から時間を 奪っていった「時間どろぼう」から時間を取り戻そうとする お話し。時間を奪われた町では、できるだけ短時間でできる だけたくさんの仕事をすることが大事なこととされました。 この本は、1973年に書かれたものですが、物語の中の世界 は今の私たちが生きている世界とそっくりです。 時間は有限であるからこそ、子どもも大人も無駄がないよう 効率的にせかせかと日々を過ごしていますが、時間を節約す ればするほど私たちの生活や心はやせ細っていくのです。本 の世界ではモモが時間を取り戻しに行ってくれますが、私た ちの世界では自分自身で取り戻すしかありません。是非モモ に会って、時間とは何か、豊かさとは何か考えてみませんか ?児童文学ですが、忙しさに追われる大人にこそ読んでいた だきたい一冊です。
「夜と霧 新版」
ヴィクトール・E・フランクル 池田香代子訳 / みすず書房
心理学者がナチス強制収容所を体験し、そこで見た「人間」 を描いたロングセラーの一冊。 人間は収容され強烈な支配を受けることで、3段階の心理的変 化が起こると言います。恩赦妄想が芽生え、感動は消滅し、 最終的には自分という存在を見失うようです。場面は1940 年代ですが、ここで語られることを2020年現在に置き換え てみてはいかがでしょうか。仕事や学校で人間関係に悩み、 自分が何者なのかわからなくなっている原因は、外的な支配 であったことに気づくのではないでしょうか。「強制収容所 の人間の内面生活が歪むのは、心理的身体的なことが要因と なってそうなるのではなく、最終的には個々人の自由な決断 いかんに関わっている。」著者の生々しい記録に向き合うこ とで、生きることの本質が見つかるかもしれません。
篠原日菜子 京都華頂大学2回生
「世にも奇妙な君物語」
山際聡一郎 同志社大学 4回生
朝井リョウ / 講談社文庫
『コンビニ・ララバイ』
池永陽 / 集英社文庫
小さな町のコンビニ、ミユキマート。妻子を事故で亡くし、 幸せにできなかったことを悔やむオーナーの幹郎のもとに、 同じように悩みや悲しみを抱えた人が集まってきます。彼ら はそこで泣き、迷い、やがてそれぞれの答えを見つけていき ます。 コンビニを舞台に深く描かれた人間模様は、しみじみと考え させられるものがあります。何気なくいくコンビニの、普段 は全然気に留めないお客さんにも一人ひとりいろんな事情や 背景があって、人には言えないいろんな苦悩を抱えて生きて るんだなぁと感じました。そう考えるといつもよりもっと人 に優しくしたいし、もっと寄り添いたいなと思えます。心が ホッと暖かくなる一冊です。
小嶋あかり 京都女子大学2回生
タイトルからわかる方もいるかもしれませんが、この本は作 者である朝井リョウさんが自身が好きな某テレビ番組を捩り 、独自の世界観で書き上げたミステリー短編集になります。 その中から特に印象深かった『リア充裁判』というお話を紹 介させていただきます。「ウェイ」や「陽キャラ」と呼ばれ るような「リア充」が正当化される社会が舞台のお話。いわ ゆる「非リア」に分類される主人公が努力し、奮闘するも歯 が立たない様子がむず痒く、現在、就職活動をしている私自 身と重なる部分がありました。どれだけいい大学に入って優 秀だろうが、本当に大事なのは人当たりの良さや人間性だな と。コミュニケーション能力とは何か、を深く考えさせる作 品でした。短編集ということもあり、展開も早く、読書をあ まりしない人でも読みやすい作品なのでぜひ気になった方は 読んでみてはどうでしょうか。
石﨑智也 同志社大学3回生
「そして、バトンは渡された」
瀬尾まいこ / 文春文庫
2019年本屋大賞の作品ということで、一人旅の行き帰りの 新幹線の中で読破した一冊をご紹介します。主人公・優子は 実の親とは別れてしまったものの、継母の梨花さんや継父の 森宮さんたちに「リレー」され、様々な形で愛情をたくさん 注がれ、真っ直ぐな女性へ成長していきます。高校生から伴 侶を得るまでの彼女と周りの人々の半生を描いた、やさしい 気持ちになれる物語です。私はこの本のストーリーはもちろ ん、ところどころに出てくるごはんの描写が大好きでした。 新学期の朝に出てくるかつ丼や、学校生活がうまくいかない 時にスタミナをつける餃子など…節目節目に出てくる食べ物 はどれも美味しそうで、登場人物それぞれに対してたくさん の愛情が詰まっていることが感じ取れます。 母の作ったご飯が久しぶりに食べたいなぁ…と思いながら帰 路についた、そんな一冊です。
「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」
若林正恭 / 文春文庫
『勝ち組』と『負け組』。残酷なまでに勝敗をつける社会の システム『新自由主義』に疑問を抱いた筆者が向かった先は 社会主義国キューバ。資本主義が浸透していない国を歩き、 人々と交流する中で大切にすべき確かなものを見つける。 筆者はお笑い芸人のオードリー若林正恭さん。自身を『生き るセンスがない』と言う彼は、ネガティブな自分の内面と向 き合い、その想いを正直に吐露しています。その中でも、亡 き父への想いが溢れ出るキューバ編の最終章では、隠してい た本音が明かされていて何度読み返しても胸を打たれます。 長い夜のお供に笑いながらも、考えさせられ、涙が溢れるこ の一冊はいかがでしょうか。今、生き辛さを感じている人に とって必ず宝物になる一冊です。
蜂谷純加 龍谷大学4回生
石飛大和 同志社大学3回生
「文・堺雅人2 すこやかな日々」 「自分なくしの旅」
みうらじゅん / 幻冬舎
還暦を迎え、背中の後光も益々輝くサブカル界の帝王みうら じゅん。本作はそんな思春期を極めた男が描く、大人の階段 を登るための指南書。大学進学のため京都から上京した自身 の経験をもとに、青臭い煩悩まみれの青年を追った氏の自省 録です。 「自分探しの旅」に相反する「自分なくしの旅」とは一体何 なのか。自分を失った先には何が待ち受けているのか。 自 分 という名のブランド力が問われるこの時代の大学生にぜ ひ読んでいただきたい一冊です。 主人公・純青年のどうしようもないだらしなさに恥ずかしい 共感を感じつつ、真面目になれない自分との葛藤に悩む貴方 へ。みうら菩薩が救いの教えを諭します。
綿引佑太 同志社大学4回生
堺雅人 / 文藝春秋
エッセイを読むのは好きですが、そのなかでも堺雅人さんの は格別です。本業が作家なのが惜しまれるほど文才があって 、教養があって。エッセイストとしても一流だと感じます、 出会いのきっかけは、大学の講義で、先生が紹介したことで した。西田幾多郎の哲学を演技に応用する、というものでし た。エッセイは知性と謙虚さをうまい具合に織り混ぜると良 いものになる、と個人的には思いますが、堺さんのものは模 範のような文です。 秋には、もの思うことが多くなる。そんな気がしたので、知 的なエッセイを紹介させていただきました。
齋田智裕 同志社大学3回生
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